須賀敦子さんは1929年生まれのイタリア文学の翻訳者、随筆家で1998年3月20日に61才で亡くなられた女性です。
2年前に立ち寄った近所の本屋さんで、「没後20年 須賀敦子の本棚」という文芸誌を手にとった時、この人の世界に触れてみたいと、なんとなく思いました。
彼女は有名な随筆家、文学者でしたが、読書家でない私にとってはこれが始めての出会いでした。
その後、購入した文芸誌に記載されていた代表作の「コルシア書店の仲間達」をまずゆっくり読みました。
須賀さんがイタリア語を学び、翻訳の仕事を始めながら、書店で仲間として働いたミラノのコルシア書店での様々な人をめぐる情景、そしてそれぞれが生活や人生を背負いながら年を重ね変わっていく時間を、美しく精緻に構成された文章で描いています。1950〜1960年代の出来事です。
須賀さんの文章に触れていると、自分の回りの空気や時間や音が、静かに語りかけて来るように感じます。
下に記載した最後の文章が好きです。
”若い日に思い描いたコルシア・デイ・セルヴィ書店を徐々に失うことによって、私たちは少しずつ、孤独が、かつて私たちを恐れさせてような荒野でないことを知ったように思う。”
次は読んでいる「霧のむこうに住みたい」と合わせて、須賀さんの世界から感じたことを書いてみたいと思っています。